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見えない光で銀河を見つける(2010年6月8日)

近赤外線での“色”を使った活動銀河中心核の探索方法を確立

宇宙の遥か彼方で明るく輝く活動銀河中心核を見つけ研究することは、宇宙の進化の初期段階を知る手がかりとなる。物理学科の高妻研究員らは、近赤外線波長での天体の明るさ(等級)から求めた色を利用し、簡易的に活動銀河中心核を見つける方法を確立した。Astronomy & Astrophysics誌に発表した。

高妻 真次郎(理学府 物理学専攻、現中京大学)

photo by Serge Brunier

天の川といえば、夏の夜空の風物詩である。白いもやのように見える天の川の正体は星のあつまりであり、天の川全体がひとつの銀河を成している。天の川銀河には、2000億個ほどの恒星があつまっており、我々が住む地球を含む太陽系も、この天の川銀河の中に位置している。我々は天の川銀河を内側から見ているため、夜空で帯状に見えるといわれている。

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図1:標高5,000mから見た天の川 (Credit & Copyright: Serge Brunier )

我々のいる安定した銀河とは違う、活動銀河と呼ばれる銀河がある。

我々の地球が属する天の川銀河のほかにも、宇宙にはたくさんの銀河があり、それぞれがさまざまな個性をもつ。その中に、活動銀河と呼ばれる特殊な銀河が存在する。通常の銀河は、星や星間物質などからエネルギーが放出されている。しかし活動銀河では、銀河の中心にある全体の1万分の1よりも小さな領域から、通常の銀河ひとつ分かそれ以上の光を放つようなエネルギーが放出されている。このエネルギー源は、活動銀河中心核(Active Galactic Nuclei : AGN)と呼ばれている。

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図2:AGNの一種、クエーサーの写真 (Credit & Copyright: NASA and J. Bahcall (IAS)) Source: Hubblesite.org

活動銀河には、宇宙の進化を探る手がかりがある。

AGNの驚異的なエネルギーは、中心にあるブラックホールの強力な重力によると考えられている。周りの物質がブラックホールに落ち込んでゆくとき、物質の重力エネルギーが解放されブラックホールの周辺領域が輝くのである。やがて周りの物質をすべて取り込むと、AGNはエネルギーの放出をやめて通常の銀河になると言われており、宇宙の進化を探っていくうえでも重要な役割を果たす。だが、なぜそれほど大質量のブラックホールが形成されたのか、またAGNはどのように進化してゆくのかといったことについて、まだよく分かっていない。

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図3:活動銀河中心核の模式図。中央に大質量のブラックホールがある。 (画像提供: NASA)

AGNを見つけるためには。

AGNの性質や進化を調べるためには、まず広大な宇宙空間の中で無数にある星の中からAGNを見つけ出さなければならない。天体の種類は、それぞれの天体が放つ光をプリズムに通して各波長ごとの明るさを測り確定されるが、この分光観測という手法は多大な時間と手間がかかってしまう。そこでより簡易的に、ある特定の波長の明るさのみを測る測光観測によって、他の天体からAGNを区別する方法がある。これまでは主に、可視光の波長で測光観測を行いAGNを区別してきた。しかしAGNの光が可視光より波長が長い近赤外線域の場合は、従来の可視光での観測では探索が困難であった。

近赤外線波長の色で、AGNの抽出に成功した。

そこで理学研究院の高妻さんらは、これまで使われてきた可視光とは違う、近赤外線波長でのAGNの抽出に取り組んだ。まず、近赤外線波長で観測されたアーカイブデータより、3つの波長(J: 1.25μm, H: 1.65μm, K: 2.16μm)での明るさ(等級)を調べ、2つの波長の等級差から色(J-HとH-K)を求める。それらを図(二色図)の上にプロットすることによってAGNの色を調べた。その結果、AGNが恒星などとは明らかに異なる分布となることを突き止めた。さらにこの性質を利用し、AGNを抜き出すための条件を定量的に示した。

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図4:近赤外線を利用したAGNの抽出

この手法は、近赤外線の測光データのみでAGNを抜き出すことができるという非常に画期的なものである。高妻さんは「今後、さまざまな近赤外線サーベイ観測が計画されているため、今回の手法によって膨大な数のAGNサンプルを集めることが可能となる。」と語る。「AGN自身の性質のみならず、宇宙の進化の歴史をたどるために今回の手法が一役買うことが期待される。」

より詳しく知りたい方は・・・
タイトル
Near-infrared colours of active galactic nuclei ( Abstract )
著者
Shinjirou Kouzuma, and Hitoshi Yamaoka
雑誌名
Astronomy & Astrophysics (2010) vol.509
研究室HP
宇宙物理学研究室
キーワード
活動銀河中心核、近赤外線探索